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内縁の妻に相続権はあるの?
父親の遺産分割のことで、父親の内縁の妻と揉めています。私の父親と母親は14年前に離婚しており、父は先日、独身のまま亡くなりました。私と妹の二人で父親の遺産分割をしようと話し合っていたところ、内縁の妻と名乗る女性から「内縁の妻にも相続権がある。遺産分割に参加したい」という要求を受けたんです。私たちは母親の死後、父親が女性と親しくしていたことはまったく知らなかったのでビックリ。同時に、相続に関する悩みが生まれてしまいました。いわゆる「内縁の妻」には、相続権があるんでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
内縁とは、「婚姻届を提出する法律婚ではないが、事実上の婚姻状態(いわゆる事実婚状態)」にある関係を言います。内縁関係にあったかどうかは、双方が婚姻の意思をもって共同生活をしているかを基準として判断されます。たとえば、同居や挙式の有無、家計を同一にしているかどうか、子どもの存在などの事情が総合的に考慮されます。
(1)内縁の妻に相続権はない
結論からいえば、内縁の妻が法定相続人となることはありません。民法の定める法定相続人は、「配偶者+子・直系尊属・兄弟姉妹」ですが、これはあくまで法律上の配偶者や親子・兄弟姉妹の関係にある方を指しており、事実上の婚姻関係や親子関係などは含まれないんですね。
(2)内縁の妻に財産承継が認められるケース
- 遺言による遺贈
被相続人が、「遺産の一部または全部を内縁の妻に遺贈する」という趣旨の遺言書を作成していた場合です。遺言書の内容が特定遺贈だと、相続人(遺言執行者がいるときは遺言執行者)がその財産を内縁の妻に移転する義務を負います。また、包括遺贈だと、内縁の妻は包括受遺者として遺産分割協議に参加することになります。 - 生前贈与・死因贈与
被相続人が内縁の妻に対して贈与によって財産を移転する場合です。被相続人が生前に内縁の妻に対する贈与を行った場合はもちろん、被相続人の死亡によって効力が発生する死因贈与が締結されていた場合も財産が承継されます。
★まとめ★
内縁の配偶者を交えた相続問題は、不正確な知識で対応をすると、大きなトラブルに繋がることも少なくありません。正しいことを正しく主張できるよう準備をしましょう。