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親の面倒を看る約束で、多くの遺産を相続したい
姉が今年で70歳になる母親の面倒を看るから財産を多く相続したいと主張し出しました。母親は衰弱してきていますが、まだまだ寝込むほどのことではないので実感は湧かないのですが、私は姉の申し出は了解しようと思っています。ただ、その約束を確実に守らせるようにしたいとは思います。なにか有効な方法はあるでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
親の面倒と相続は別の話ですが、「負担付遺贈」という方法をとってみてはいかがでしょう。お母さんの遺言書のなかに、お姉さんに対して「面倒を見ることを条件に、○○○を相続させる」という趣旨の項目を記載してもらうわけです。これなら、お姉さんに一定の法律上の義務を負担させることが可能になります。
共有名義のメリット
「負担付遺贈」とは、財産を与える側(遺贈者)が無償で財産を与えられた側(受遺者)に対して、相続財産を渡す条件として受遺者に一定の義務を負担の約束をしてもらう遺贈のこと。具体的には、次のような例です。
- ○○に全財産を遺贈するが、母親である○○の面倒をみること
- ○○が、私の後を継ぐのであれば、株式会社○○の全株式を遺贈する
- ○○の介護を見ることを条件に○○の財産を渡す
- ○○の住宅ローンを引き受ける代わりに、○○の家を与える
- 障害を抱えた○○の子どもの面倒を見る条件で、○○に○○の財産を渡す
もし、仮に財産を与えられた側(お姉さん)が、その条件(お母さんの面倒)を負担することが不可能であれば、遺贈を放棄することもできます。
相談者が心配であれば、お姉さんがしっかりと負担内容を実行するかを見るため、遺言執行者を指定しておくことをお勧めします。もし、お姉さんが約束を守らない場合は、遺言執行者と相談者は、期間を定めて履行を催告でき、それでも履行がない場合は、遺言(負担付遺贈)の取消しを家庭裁判所に請求できます。
こんなことにならないように、負担付遺贈をする際には受遺者と遺贈者は前もって、しっかりと話し合っておいた方が良いでしょう。
★用語解説★
- 遺言執行者
遺言書に書かれている内容の実現のため、各種相続手続きを中心となって進めていく人のこと。遺言者が遺言で指定していない場合は、家庭裁判所で選任手続きを行って指定されます。