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相続問題の発生を未然に防ぐ方法は?
70歳の女性です。78歳の主人は徐々に身体の自由がきかなくなっていて、「相続手続きもそろそろ」という感じです。ただ、財産としては現金の他、不動産や有価証券、建物などもあるうえ、子どもが多くて6人の兄弟姉妹。私を含めると計7人で相続することになります。こんな状況で「揉めごと」を起こさずに、公平でスムーズな相続を行うための事前準備があったら、教えてください。
相続前の対応策
遺産をめぐる相続人の揉めごとは、泥沼状態になってしまうことが少なくありません。特に被相続人(このケースだとご主人)の没後になって起きる問題は、なかなか解決しにくいものです。
⑴家族会議
まずは、相続財産を大まかに把握した後に、ご主人を含めた家族全員が集まって、事前に話し合うことが大事でしょう。そうすれば、遺産の詳細がわかって、相続人同士の揉めごとを未然に防止することができます。痴呆などで被相続人の判断能力がなくなってしまうと、当事者が冷静な判断ができなくなってしまうので、なるべく早いうちがいいですね。
⑵誰が相続するか
「誰が相続人になるか」を家族全員で共有します。一般的なパターンは、以下が考えられます。
- 被相続人の配偶者とその子どもが相続人の場合
- 被相続人の配偶者とその親が相続人の場合
- 被相続人の配偶者とその兄弟姉妹が相続人の場合
- 被相続人に配偶者がいない場合
⑶何を相続するか
「誰が相続人なるか」が整理できたら、「何を相続するか」を決めます。まずは、どんな遺産なのかを把握しましょう。現金だけでしたらシンプルですが、このケースでは不動産や有価証券、建物などもありますから、詳しく調べておくことが欠かせませんね。
⑷どのように相続するか
「何を相続するか」が明確になったら、最後に「どのように相続するか」です。遺産を分割する方法としましては、以下の方法があります。
①現物分割
このケースだと、「不動産は長男に」「預金は長女に」「その他の財産は二男・二女・三男・三女で均等分割」というように、どの相続財産を誰が相続するかを現物によって分割する方法です。遺産を分割する基本となる方法で、もっとも多く利用されています。
②換価分割
遺産を売却して現金に換えたうえで、この現金を相続分に応じて分割する方法です。誰も住んでいない家を相続した際に適しています。
③代償分割
ある相続人がすべての遺産を相続するかわりに、他の相続人に対して相続分に応じた金銭の支払いをする方法。土地、建物、証券など分割しにくいものの場合は最適な方法と言えます。ただし、この分割方法だとすべてを相続する人には他相続人に支払いできる経済力が必要になります。
④共有分割
不動産や有価証券など、それぞれの遺産を相続人で共有する方法。これは問題を先送りするだけで抜本的な解決にはならないため、後々、問題が起こりがちです。共有者の一人が死亡した場合は新たな相続人の名義が加わるなど、複雑度がさらに深まる原因にもなります。
★まとめ★
家族・親族同士の争いなど、誰も望んでいません。望んでいないにも関わらず、相続問題は後を絶たないのが実情です。そうならないためにも、被相続人になる方が生前に元気でいるうちに、「遺産相続についての話し合い」をして「遺言という形で明確化」することが大切です。これは、被相続人も相続人の両者に言えることですね。