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日本国籍がない子どもに相続権はあるの?
75歳で亡くなった父親はいわゆる商社マンで、海外赴任も少なくありませんでした。私が幼少の頃も、マレーシアにも5年間くらい赴任していたようです。
そのとき、現地の女性との間に子どもができていて、父親の没後にそのマレーシアのお子さんから相続のことで連絡がきました。その人は父親に認知されておらず、しかも日本国籍もありませんが、相続権はあるのでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
このケースのように、外国と何らかの関わりをもつ相続のことを「渉外相続」といいます。渉外相続については各国ごとに考え方が異なり、全ての財産を被相続人の本国法で決めるという「相続統一主義」と、遺産の種類によって扱いが異なる「相続分割主義」という2つの考え方があります。日本では「相続統一主義」の考え方を採用していて、「相続は被相続人の本国法による」と定められています。つまり、被相続人が日本国籍であれば、日本の法律に従って相続が行われるわけです。
日本国籍の相続人と同じ権利や義務が発生
日本では「相続は被相続人の本国法による」と定められていますから、このケースの場合、お父さんの国籍が日本であれば、マレーシアのお子さんの国籍は一切関係なく日本国籍の相続人と同じ権利や義務が発生します。
ただし、お父さんに認知されていないというのであれば、マレーシアのお子さんは「お父さとの間に血がつながっていること」を証明しなければなりません。頭髪・血液などあれば、DNA鑑定で認知の判決を得られます。管轄は、日本の家庭裁判所で行われます。