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遺産分割調停に関して知っておくと便利な知識は?
母親の死後に行った兄弟姉妹間の遺産分割協議がうまく進まず、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことになりました。もちろん初の経験です。調停の申立てで把握しておくべき点があると思いますが、いかがでしょう?
相続トラブルに役立つ知識
遺産分割調停を申し立てる際、知っておいた方がよいポイントはいくつかあります。これを把握していても損はありませんので、押さえておいてください。
(1)遺言書の効力
有効に成立した遺言書がある場合には、遺言書どおりの遺産分割を行うのが一般的です。しかし、相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる内容での遺産分割協議も可能になります。
そういう意味では「遺言書の効力は絶対」とは言い切れませんが、遺言によって子どもの認知や相続人廃除がなされた場合には絶対の効力がありますので、納得できない際には遺言の無効などを裁判で争うほかありません。
(2)被相続人の財産を確認する方法
相続が始まったら、最初に被相続人の財産の有無や程度を確認しなければなりません。このとき、遺産分割の対象になるのは以下のような財産です。
遺産分割対象になる財産 | 遺産分割の対象になるか | 相続税の対象になるか |
---|---|---|
家や土地などの不動産 | ○ | ○ |
銀行などの預貯金 | ○ | ○ |
株などの有価証券 | ○ | ○ |
自動車や船舶 | ○ | ○ |
貴金属類や美術品 | ○ | ○ |
借金・ローン | ○ | ○ |
葬儀費用 | × | ○ |
死亡保険金 | × | ○ |
死亡退職金など | × | ○ |
遺族年金など | × | × |
相続開始前の贈与 | 一定の生前贈与を遺産分割時に考慮する | 相続開始前3年以内になされた贈与は相続税の算定の際に考慮する |
(3)相続人の確定は慎重に
相続人全員が被相続人と同居しているようなケースで、相続人同士が「お互いを相続人である」と認識しているような場合であっても、誰が相続人になるのかを改めて確認する作業を怠ってはなりません。特に、再婚家庭では前婚の子ども相続に関わる可能性がありますし、生涯独身であった被相続人に隠し子がいるケースもゼロではありませんので、この部分だけは必ず調査しましょう。
「相続人が多すぎる」という状況も、遺産相続で揉める原因のひとつになります。こういうときには相続放棄などを活用して、相続人を減らすことも選択肢のひとつになります。相続人から外れてもらう人には、あくまで「お願い」であることを認識し、強制的な態度で臨まないようにすることが大切です。