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借地権遺贈の場合、相続は地主の許可が必要なの?
一人で暮らしていた叔父が亡くなりました。叔父は借地に家を建てて暮らしていましたが、未婚のままで法定相続人に相当するのは叔父の兄である私の父だけです。叔父は遺言を用意していて、借地権を私に遺贈することを明記していました。その場合、地主の許可は必要なのでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
単純に相続人に借地権を相続する場合は地主の許可は必要ありませんが、被相続人があなたからみて叔父に当たるような場合、その被相続人から譲渡(遺贈)を受ける際は賃貸人の承諾と承諾料が必要になります。
特定遺贈を受けるかどうかは自由
- 承諾請求
借地権(借家権)の譲渡を有効にするためには、受遺者と遺贈義務者が連署の上、賃借権の遺贈がある旨を地主に通知して承諾請求を行います。 - 承諾
承諾の相手方(地主)は、賃借人または賃借権の譲受人のどちらかに承諾をしたことを伝えます。確実に伝えたことを明記しておくためにも、内容証明で送る(受け取る)ようにしておくとよいでしょう。 - 移転手続き
賃借人(地主)の承諾が得た後、借地権付き建物の場合には建物の所有権移転登記、借家権の場合は引渡しを得るなどして移転手続きを行います。 - 賃借人(地主)の承諾が得られなかった場合
借地の場合は家庭裁判所への申し立てによって、賃借人の借地権譲渡の承諾に代わる許可を得ることができます(借地借家法19条1項類推適用)。もし、申し立てが却下された場合は承諾が受けられなかったものとして、借地権については遺贈ができなかったということになり終了です。この場合は、弁護士に相談してみると良いでしょう。
★用語解説★
- 法定相続人
民法によって定められた遺産相続する権利を有する者。遺言書がない場合は、この法定相続人によって遺産を分割することとなります(民法第890条、887条、889条、889条)。 - 遺贈義務者
遺言で特定の財産を譲渡する特定遺贈があった場合、特定受遺者(特定遺贈で遺産の譲渡を受ける人)に対して遺言の内容のとおりの遺産の引渡しなどを実行する義務を負う者のことです。通常は相続人が遺贈義務者になります。包括受遺者も相続人に含まれます。ただし、遺言執行者がいるときは遺言施行者が相続人に代わって遺贈義務者になります。