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借地権相続の際に、気をつけることは?
長年、夫婦で借地暮らしを送っています。三人息子のうち、年上の二人は既に結婚してそれぞれの家を所有していて、末っ子の息子は未婚で賃貸マンションで生活しています。そこで、ゆくゆくは私たちが暮らしている借地を三男に相続しようと思っていますが、今のうち気をつけておくことがあれば教えてください。
相続トラブルに役立つ知識
借地権の相続に関しては、いろいろなトラブルが起こりがちです。そのななから、よくある注意点をまとめました。
(1)建物が火事などで紛失すると、借地権も消滅する
借地上の建物が火事で焼失してしまったり、地震・津波などの災害でなくなってしまった場合、借地権は消滅してしまいます。借地権を保全・継続するためには、借地権者は消滅前に存在した建物を特定するために必要な事項、滅失があった日から2年以内に新築の建物を建築する、または売却する旨などを記した掲示をすることが求められます。
(2)借地権には更新料がかかる
契約期間が満期に近づくと、地主は更新契約とともに更新料の請求をしてきます。「そもそも、更新料は支払うべき法的根拠があるのか?」と疑問に思われている方も多くいるのですが、結論をいうと、更新料はどうしても支払わなければならないものではありません。ただ、地主から見た場合、更新料は地代を補填する金銭と考えている方も多くいますし、継続してその土地に住み続ける場合は不利益を被る場合もありますので、払っておいたほうが無難でしょう。
(3)地主に地代の値上げを要求されている場合
地主は、常に地代値上げの機会を窺っているかもしれません。「地代は、物価の変動、公租公課の変動、近隣相場の変動によって増減額の請求ができると」契約書に記載されていますので、借地権者の方からの値下げも可能です。将来、値下げの可能性を残すことや、地主の納得できる方法ということで、現在の地代を基準に「地代は固定資産税の○倍」といった取り決めをしておくことも有効です。
(4)借地の建物の建て替えを地主に承諾してもらえない場合
こんなときには、承諾されない理由を確認しましょう。「地代の増減額請求があった」「期間満了時に更新料を支払わない」など、何かしらの原因が存在するはずです。もし、単純な意地悪や立ち退きが目的である場合は、地主からの承諾を諦め、裁判所から地主に代わる許可(借地非訟)をとるといった方法もあります。