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葬儀の費用は相続財産から払える?
先日、父親が80歳で他界しました。母親は10年前に亡くなっているので、長男の私が喪主になります。規模にもよると思いますが、葬儀にはかなりの費用が必要だと聞いています。このまとまったお金を用意できなかった場合、死んだ父親の遺産から捻出すことはできるのでしょうか?
相続前に役立つ知識
相続財産にあたる「亡くなった方の預金口座」からお金を引き出し、それを葬儀費用に使ってもいいのか? 遺産を相続する方が一人であれば問題なさそうな気もしますが…。
(1)故人の口座からは引き出せない
銀行や郵便局は、口座名義人の死亡を知った時点で口座を凍結します。窓口やキャッシュカードからの引き出しはもちろん、入金、送金などの一切の取引ができなくなります。なぜなら、口座名義人が死亡した時点で預金は相続財産となり、相続人全員の管理下になるからです。
「相続人の誰が、何をどれくらい相続するのか」がハッキリしていない段階で入出金を認めてしまうと、後に相続人間でのトラブルが起こり、最悪の場合、相続人から銀行や郵便局が損害賠償などの請求を受けたりしてしまうかもしれません。そのため、被相続人の口座を凍結して取引をできなくするのです。
(2)葬儀費用は引き出すことができる
葬儀費用に関しては、ご家族の方や相続人の方であれば、引き出すことが可能のようです。ただし、相続人が複数名いる場合は、あとでトラブルにならないためにも事前に相談した上で行いましょう。また、金融機関ごとに必要書類や手続きは異なりますので、実際に行う際は直接、金融機関に相談するようにしてください。
葬式費用は、遺産総額から差し引くことができます。ただ、項目によっては控除の対象にならないものがあるので、要注意です。
(3)葬式費用として相続財産から控除される範囲
<葬式費用として控除できるもの>
- 遺体の捜索や運搬にかかった費用
- お通夜や告別式などにかかった費用
- 火葬、埋葬、納骨の費用
- お寺や僧侶への御礼代金
<葬式費用として控除できないもの>
- 香典返しにかかった費用
但し、会葬当日の参列者に渡す会葬御礼費用は控除の対象です。 - 墓石や墓地の購入、借用にかかった費用
但し、四十九日に実施した納骨費用(石材店に支払った費用)は控除の対象です。 - 仏具代
- 初七日や法事の費用
但し、告別式と同時に行った初七日の費用等は控除の対象になります。
★まとめ★
葬儀費用に関しては、被相続人の口座から引き出すことが可能です。