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相続人と相続分 

老後の面倒を看た息子の妻に相続権はあるの?

老後の面倒を看た息子の妻に相続権はあるの?

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老後の面倒を看た息子の妻に相続権はあるの?

先日、母親が88歳で亡くなりました。晩年は痴呆症がひどく子どもの判別もつかなくなっていて、誰か身の回りの世話をしなくてはいけない状況でした。子どもは長男の私をはじめに4人の兄弟姉妹。しかし、弟や妹はそれぞれ遠方で家庭をもっているので、必然的に長男の私が面倒を観ることになりました。ただ、私にも仕事があるので、実際には妻がつきっきりの状態で最後まで面倒を観てくれたのです。こんな妻に感謝する意味で、相続人の一人として財産を継いでもらいたいのですが、可能でしょうか?

相続トラブルに役立つ知識

よく聞く話で、「息子の嫁が息子の亡き親の老後の面倒を見たので、相続権があるのではないか」という趣旨ですよね。確かに、血のつながりのない義理の親の面倒を見るのは、いろんな意味で大変なことです。しかし、「大変な苦労があった」ということと、「法定相続人になれるかどうか」や「相続権の有無」は別問題となります。

(1)息子の嫁は、亡くなった方の法定相続人にはなれない

結論から言うと、亡くなった方の子どもの嫁や婿は、亡くなった方の法定相続人にはなれません。法定相続人になれないということは、相続権もないということになります。「法定相続人にはなれなくても、老後の面倒を見てるから、寄与分があるのではないか」という話も出るかもしれませんが、寄与分については法定相続人だけの問題となります。つまり、亡くなった方の息子の嫁や婿は法定相続人にはなれませんし、相続権や寄与分もないということになります。

(2)実際の介護に報いる方法

では、「どうやっても息子の嫁は、息子の亡き親の老後の面倒を見たことに対して報われることはないのか」と言えば、そうでもありません。苦労した分を息子の相続分に上乗せするという方法です。

具体的には、法定相続人同士の遺産分割協議のなかで調整する方法です。つまり、老後の面倒を見た息子の嫁に対する気持ち分を、法定相続人の一人であるの息子に上乗せするわけです。遺産分割の方法については、遺言書がない限り基本的に法定相続人同士で自由に決めることができますので、全員が納得できればそういった方法でも良いということになります。これだと、お互い納得のいく成果が出せるかもしれません。ただ、法定相続人のなかで誰か一人でも納得できない人がいると、その方法も難しいということになります。


★用語解説★

  • 法定相続人
    民法によって定められた遺産相続する権利を有する者。遺言書がない場合は、この法定相続人によって遺産を分割することとなります(民法第890条、887条、889条、889条)。
  • 寄与分
    被相続人の生前に、その財産の維持や増加に影響するような貢献をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられた制度です。 民法904条の2によって定められています。
  • 遺産分割協議
    相続人全員の合意で、被相続人(亡くなった方)の遺産の分け方を決めることです。