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相続人の一人が遺産を独占している
先日、母親が83歳で亡くなりました。父親は、10年前に既に他界しています。今は母親の葬儀が済み、相続の手続きをしている最中です。相続人は、兄と妹である私。しかし、私が海外から帰国するまでに兄が勝手に財産を独占しようと手続きしてしまったようです。法律で決められているように均等に配分するための方法はあるでしょうか? なお、遺言書は見当たらないようです。
相続トラブルに役立つ知識
民法上、遺産相続の基本はあくまで被相続人の自由な意思を尊重することになっています。その場合は、被相続人が残した遺言書などに従って相続の方法や内容が基本となって決定します。しかし、本件に関しては遺言書がなく、相続人同士の話し合いもまとまりそうにありませんから、遺産分割の調停・審判の申立を行う必要があります。
遺産分割の調停・審判の申し立て
遺言が残されておらず、相続人間の話し合いでもまとまらない場合には、被相続人(この場合、お父さん)の住所地の家庭裁判所に、遺産分割の調停・審判の申立を行いましょう。裁判所では、まず円満な話し合いをすすめるための調停を行い、その調停が不成立になった場合は審判手続に移行します。審判による遺産分割は、民法で定められた法定相続割合を基準にして決定されます。
※複数人いる場合は頭割りで等分
★用語解説★
- 法定相続割合
民法で決められた法定分割という考え方があります。 法定分割とは、民法で「このように財産を分けるのが一番よい」と決めている分け方です。法定分割で分けたそれぞれの法定相続人の取り分が「法定相続分」です。 - 直系尊属
自分よりも前の世代、上の世代のことを指します。つまり、自分の先祖に当たる人のことです。その尊属の「直系」であるため、直系尊属とは「父母」や「祖父母」「曾祖父母」となります。 逆に、下の世代、後の世代のことは「直系卑属」言います。つまり、子孫ということです。その卑属の「直系」ですから、自分の子どもや孫、ひ孫が直系卑属に当たります。