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生前贈与や遺贈によって、法定相続での分割が不公平になる場合は?
先日、父親が他界し、4人の兄弟姉妹で相続の作業を行っている最中です。そこで問題となっているのが、末っ子である弟が父親の生前中に現金の贈与を受けていたという事実です。このまま父親の遺産を均等に分けると兄と姉、そして私の3人が受けるいわゆる法定相続での分割が不公平になると思います。こうした場合、どのような処置が行われるでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
共同相続人のなかに、「被相続人から遺贈を受けた人」や「婚姻、養子縁組あるいは生計の資本として贈与を受けた人」がいる場合には、被相続人が相続開始のときに有していた財産の価格にその贈与の価格を加えたものを相続財産とみなして、各相続人の相続分を計算することとされています。
特別受益の持ち戻し
遺贈や贈与を受けた相続人は、これらの計算方式によって算出された相続分から遺贈または贈与の価格を差し引いた残額しか相続分として受け取ることができません。これを、「特別受益の持ち戻し」といいます。分かりやすくいえば、生前贈与も相続時にはこれを相続財産の一部とみなして、遺産分割の際に精算する制度だということです。
「贈与してしまえば相続と関係がないのだから、相続対策や遺留分対策になる」と思っている人は要注意です。原則として、贈与しても法定相続分や遺留分を減少させることはできません。