目次
寄与分を主張する際の手順は?
父親が亡くなった後、認知症の母親をずっと介護してきました。兄と妹もいますが、母親の近くで面倒をみてきたのは私といっても問題ないと思います。そんな母親が亡くなり、今、相続のことで兄妹と揉めています。10年以上も介護してきた私には寄与分が認められて当然だと思いますが、それを主張する方法がよく分かりません。どんな手順で兄と妹を説得すればいいでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
「どうやって寄与分を主張していけば効果的なのか」を具体的な方法でご紹介しましょう。
(1)まずは遺産分割協議で寄与分を主張
寄与分は、自分で「寄与分がある」と主張することから始まります。遺産分割協議では、遺言書などがなければ、被相続人の遺産は自由に分配できます。まずは、この遺産分割協議で寄与分を主張しましょう。しかし、相談者の貢献度はお兄さんや妹さんに十分に理解されていないかもしれませんね。そうだとすると、この段階で寄与分が認められることはほとんどないと言ってもいいでしょう。その場合は、遺産分割協議での主張は諦めて、遺産分割調停にで寄与分の主張をしていくことになります。
(2)寄与分を求める調停を申立てる
調停では、相談者が独自に資料を準備する必要があります。書面で「自分には寄与分として認められるだけの具体的な証拠があること」を提示し、それを裁判所と相手方の相続人に提出するわけです。また、寄与分には家業従事型、金銭等出資型、療養看護型、扶養型、財産管理型がありますから、当てはまる型の裁判例を踏まえた緻密で論理的な主張をしていくことが重要になります。その上で、調停手続きのなかで調停員という専門家が関与し、寄与分として認めるかどうかを判断していきます。
(3)調停の申立てに必要な書類
- 申立先
相手方相続人のうちの一人の住所地がある家庭裁判所。または、当事者が合意で定める家庭裁判所かその寄与分についての話し合いが継続している裁判所に申し立てます。 - 必要な書類
- 申立書1通およびその写しを相手方の人数分
- 標準的な申立添付書類
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の子(およびその代襲者)が死亡している場合
その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(およびその代襲者)が死亡している場合
- 相続人全員の住民票または戸籍附票
- 遺産に関する証明書
- 不動産登記事項証明書および固定資産評価証明書
- 預貯金通帳の写しまたは残高証明書
- 有価証券写し など
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の父母の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 甥・姪の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
(4)調停が不成立なら審判へ
遺産分割調停でも決着がつかない場合は、寄与分を定める審判の申し立てをすることになります。手順は調停を申し立てる方法と同様ですが、家庭裁判所が寄与分を定める処分の申立をするための期間制限をする場合もあります。
★まとめ★
遺産分割協議で寄与分が認められなかった場合は、遺産分割調停へ、それでも解決できなかったら審判へと持ち込まれます。
★用語解説★
- 遺産分割協議
相続人全員の合意で、被相続人(亡くなった方)の遺産の分け方を決めることです。