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寄与分はどのくらい認められるの?
私は、長年にわたって父親とともに事業を経営してきました。現在、父親は高齢のため第一線から退き、私がメインで経営に当たっています。父親が亡くなった後のことですが、相続するのは母親と4人の兄弟姉妹だと思います。こうした状況のなかで自分としては寄与分の主張をしたいと考えていますが、どのくらいが認められるのでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
ご相談のように「親の会社を引き継いで、業績を増やした」といった人には、寄与分(民法第904条)によって相続財産を増やせるという優遇制度が適用されます。
寄与分には、額の制限がない
「寄与分」とは、被相続人の生前にその財産の維持や増加に影響するような貢献をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられた制度。民法904条の2によって定められています。寄与分は共同相続人のうちある特定の相続人だけについて相続分を増加させる制度ですから、法定相続分の例外的な扱いになります。
ただ、寄与分には額の制限はありません。このケースでいうと、もし父親が名目だけの社長で、相談者が実質的にすべてを取り仕切っているとすれば、全部に寄与分が認められてもおかしくはないでしょう。判例では、財産の半分の寄与分が認められていたケースもあります。まずは、できるだけ寄与した部分の証明を明確にして、代理人などに相談すればいいでしょう。