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推定相続人の廃除は、被相続人以外でもできる?
実家で80歳の父親と48歳の姉が同居しています。しかし、父親はかなりの頻度で姉に折檻されているようで、生傷が絶えない状態です。父親はおとなしい性格ですから反発もせず、後のことを恐れてか私にも報告しようとしません。このままだと精神的にもまいって自殺してしまうかもしれず、とても心配です。ゆくゆくのことを考慮して、姉を相続人廃除の対象にしたいのですが、父親の指定でなければ実現しないでしょうか?
相続トラブルに役立つ知識
相続人の虐待や重大な侮辱行為がある場合、被相続人は家庭裁判所に「相続排除」を申請することができます。相続排除を行うためには、被相続人自らが家庭裁判所に請求をする方法と遺言書に記して意思表示をする方法があります。
(1)推定相続人の相続排除は、家庭裁判所に申請
被相続人が死亡した際に遺産を相続することが想定される推定相続人から虐待や侮辱行為を受けている場合、被相続人は「推定相続人の相続排除」を家庭裁判所に申請することができます。裁判所から相続排除の審判が下されたら、市区町村役場に「推定相続人排除届」を提出することで適用されることになります。
(2)遺言書による排除も可能
相続排除は、遺言書に特定の相続人の排除を希望する旨を記載しておくことでも実現されます。この場合、被相続人の死後に遺言執行者が家庭裁判所に排除請求を行います。そのため、遺言書による相続排除をする場合には、遺言執行者の指定もしておく必要があります。
★用語解説★
- 推定相続人
被相続人の生前、現状の家族構成で遺産相続が開始したとして相続をすることが想定される相続人です。法律で定められた法定相続人が変更されることはありませんが、推定相続人は場合によっては相続権を剥奪されます。