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兄弟姉妹間の遺産分割で生じるトラブルを避けたい
87歳の母親が病床に伏せており、余命いくばくもない状態です。父親は5年前に他界しているので、母親が亡くなると、父母の財産は長女の私を含む子ども3人で相続することになります。「兄弟姉妹で相続をするとき、財産を巡って争いが起きることもある」とよく聞きます。私としては、こんな無用なトラブルは避けたいので、今のうちに兄弟全員が納得できる分割方法についての知識を修得したいと思っています。
相続トラブルに役立つ知識
ご両親の遺産相続を兄弟で行う場合の分割方法には、法律で定められた割合を基準として分割する方法と、遺産を分割する話し合い(遺産分割協議)や遺言書の指定による分割といった自由に配分を決める方法があります。
(1)法律で定められた割合を基準として分割をする
相続には、法律で定められた割合である「法定相続分」を基準として分割する方法があります。ご両親がお二人とも亡くなられた後に遺産を相続する場合には、ご両親が作成された遺言書がなければ、この法定相続分を基準として遺産を分ける方法が1つとなります。この場合、亡くなった方を基準とするとお子さんの立場であるご兄弟姉妹で分割することになり、お子さん全員で100%の財産を分け合うことになります。お子さんの分割割合は、兄弟姉妹問わず皆さん同じ割合で分割されます。
(2)法律で定められた割合を基準にせず自由に配分を決める
法定相続分を適用するとスムーズな相続となりますが、「ご両親の介護をしていた」といった家族内の関係を考慮したり、「実際の財産が不動産など均等に分けられないものばかり」というケースも多いことから、話し合いで決めることも少なくありません。また、ご両親が作成された遺言書がある場合には、遺言にもとづいた内容を最優先として相続します。
①兄弟姉妹で話し合いをして決める
ご両親の遺言書による遺産分割の指定がない場合、実際に遺産を分割しようとすると「実家の不動産と少量の現金」など、均等に分けられる財産が残されていないケースが多々あります。そんな場合には、兄弟で分割方法や割合を決める「遺産分割協議」という話し合いを行い、全員が合意をした場合には法定相続分以外の割合で分割することができます。
遺産分割協議については、兄弟姉妹が対面して話し合う必要はなく、電話やメール、ファックスで協議を進めてもかまいません。ただし、兄弟姉妹の誰か一人でも協議に不参加の場合、その内容は成立しません。相続人全員の「参加・合意」および「遺産分割協議書への署名と捺印」が必須となります。
遺産分割協議をスムーズに完結させるポイントとしては、ご両親から受け取る財産について亡くなった時点の財産を分割することを考えるのではなく、兄弟間で「生涯で平等」になるように配慮することが大切です。たとえば、兄弟姉妹の誰かが多額の学費を支払ってもらっていた場合など、その分に配慮して相続の割合を少なくするなど、お互いの立場を尊重しあうといいでしょう。
②遺言書がある場合は最優先される
ご両親が作成された遺言書がある場合には、その内容が最優先されて遺産分割が行われます。ご両親の意思を尊重した遺産分割ができますので、ご両親が元気なうちに遺言書を作成しておいてもらうことが大切です。
★まとめ★
兄弟姉妹で両親の財産を相続する場合は、「法律で定められた割合を基準として分割をする方法」と「法律で定められた割合を基準にせず自由に配分を決める方法」があります。