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相続人と相続分 

相続分は譲渡できる?

相続分は譲渡できる?

相続分は譲渡できる?

父親の遺産を巡って、兄・姉と協議中です。二人は父親が残した現金だけではなく不動産にも関心があって取得したいと意気込んでいますが、末っ子である僕は不動産には興味がなくて「早いうちに現金さえもらえればいい」と思っています。そこで、僕は相続分の不動産を兄か姉、あるいは第三者に売ろうかと考えています。この解決策は法的に問題ないでしょうか? なお、母親は以前に他界しています。

相続トラブルに役立つ知識

相続権を有する人が自分の相続分を他の相続人や第三者に譲渡することを「相続分譲渡」といい、法的に許されています。ただし、相続分譲渡の「相続分」とは個々の財産の共有部分を指すわけではありません。あくまで遺産分割時における権利割合を指しています。つまり、相続人の地位そのものを意味しています。

(1)相続分譲渡の手続き方法

相続分譲渡の契約方法は自由です。口頭での契約も可能です。ただ、後のトラブルを防ぐためにも、「相続分譲渡契約」を書面で交わすことが通常です。

  1. 相続分譲渡契約を書面で交わす方法
    相続分譲渡契約を書面で交わす場合、「相続分譲渡証書」を作成するようにしましょう。ポイントは次のとおりです。

    ・譲渡人、譲受人の名前や住所などを記す
    ・誰の相続分を譲渡するかを記す(被相続人名)
    ・いくら分を譲渡するかを記す(全部、一部など)
    ・どのような条件で譲渡するかを記す(無償など)
    ・いつ契約が効力を発揮するかを記す
    ・債務の扱いに関して記す

    以上を押さえた証書であれば、後のトラブルを防ぐことができるはずです。

  2. 手続きを交わす上でのポイント
    相続分譲渡契約が効力を発揮するためには、次の5つのポイントを守る必要があります。

    ・遺産分割の前に契約を交わす
    ・他の相続人の承認が不要であることを記す
    ・他の相続人、または第三者が対象であることを記す
    ・無償契約、有償契約は問わない
    ・他の相続人に通知する

    簡単にまとめると、「遺産分割が始まる前に譲受人(譲渡先の人)を見つけて契約をし、その旨を他の相続人に知らせる」ということです。遺産分割が始まってしまうと相続分譲渡はできません。また、トラブルを防ぐためにも、相続人全員に内容証明郵便で、その旨を伝えておくのが好ましいですね。

(2)相続分譲渡がされた際の遺産分割協議

相続分譲渡先が他の相続人であれば、比較的トラブルが少なく協議を進めることができます。しかし、第三者に譲渡された場合は、話し合いが進行しにくくなることも少なくありません。

  1. 他の相続人に相続分譲渡がされた場合
    他の相続人に相続分譲渡がされた場合は、譲渡をした相続人の相続割合がそのまま譲渡された相続人に加わることになります。相談者のケースで考えてみましょう。まず相続分譲渡がされない場合は、下記のとおりに分配されます。

    ・お兄さん…3分の1
    ・お姉さん…3分の1
    ・相談者……3分の1

    続いて相談者がお兄さんに相続分譲渡をした場合は、次のようになります。

    ・お兄さん…3分の2
    ・お姉さん…3分の1
    ・相談者……0

    相続分譲渡がされると、その譲渡人(相談者)の相続割合が減ります。そして、その相続分がそのまま譲受人(お兄さん)に加わることになります。そしてこの相続分に従って、お兄さんとお姉さんで遺産分割協議を進めます。

  2. 第三者に相続分譲渡がされた場合
    第三者に相続分譲渡がされた場合、その譲受人が相続人としての地位を手に入れ、次のような行為ができることになります。

    ・遺産分割協議に参加し、意見を表明できる
    ・譲渡された相続権をさらに譲渡できる
    ・相続分に従って遺産を受取ることができる
    ・不動産の移転登記ができる

(3)相続分譲渡の注意点

  1. 「相続分の取戻し」の可能性
    「相続分の取戻し」とは、相続分譲渡で第三者に相続権が譲られた場合に、他の相続人が譲渡された相続分を取り戻せる制度です。相続分の取戻しがされると、その相続分は相続人全員に帰属されます。したがって、譲渡人の意思が反映されなくなる恐れがあります。相続分の取戻しは、次の全項目を満たす場合にのみ認められています。

    ・相続人以外の第三者に譲渡されていること
    ・お姉さん…3分の1
    ・相談者……3分の1

    続いて相談者がお兄さんに相続分譲渡をした場合は、次のようになります。

    ・譲受人に相続分の価額など支払うこと
    ・譲渡されてから1カ月以内に手続きをすること

  2. 相続分譲渡における「債務」の扱い
    相続分譲渡をすると譲渡をした人は相続人としての地位を失いますが、債務についてはそうではありません。たとえ相続分譲渡をしたとても、債務の連帯責任を負う必要はありますので、要注意です。ただし、契約次第では相続分を譲受人が優先して支払うことを決めることもできます。相続分譲渡の契約を結ぶ際には、債務に関する扱いも取り決めておくといいでしょう。


★まとめ★

「相続分譲渡」を行うことで、他人に自分の相続分を譲ることができます。その結果、面倒な遺産分割争いに巻き込まれずにすみますが、被相続人の負債を引き続き負う義務は残ります。また、相続人以外の第三者に譲渡した場合は、他人が入ってきて遺産分割協議が難しくなる恐れも。そのため、相続分譲渡を考えている場合、あるいは他の相続人が相続分譲渡を予定している場合は、弁護士などの専門家に一度相談されることお勧めです。