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相続前 

生前贈与されると、税金がかかるの?

生前贈与されると、税金がかかるの?

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生前贈与されると、税金がかかるの?

父親71歳、母親65歳、私が40歳の3人家族です。父親はちょっと心臓が悪いのですが、まだ寝込むような状態ではありません。ただ、生きているうちに別に所有している家屋を私に贈与して、わずかでも相続税がかからないようにしてくれるようです。これは「生前贈与」当たると思うのですが、課税の対象にはならないのでしょうか? また、課税の対象になるとしたら、どのような形があるのでしょうか?

相続前に役立つ知識

生前贈与」とは、被相続人(このケースだとお父さん)が死ぬ前に所有している財産を人に与えることです。この財産は、誰にでも贈与が可能です。生前贈与が手続きされなかった場合は、相続人が自動的にその財産を受け取ることになります。

お父さんがお考えのように、自分の子どもや配偶者に財産を生前贈与しておけば、自分が死んだ時に子どもや配偶者が支払わなければならない相続税を節約することができます。しかし、工夫なしに生前贈与をすると、相続税よりも高額な贈与税を支払わなければならないことになります。

そこで、贈与税が非課税となる制度などを利用することが一般的です。その場合、生前贈与を受ける受贈者は、「暦年課税(通常の贈与税)」か「相続時精算課税」のどちらかの方法を選択する必要があります。

⑴暦年課税

暦年課税とは、1年間の贈与についてまとめて課税する方法のことです。たとえば、1月1日〜12月31日までの1年間で財産を受け取ったとしたら、受贈者はその1年間の合計金額にかかる税金を払うわけです。ただし、この場合、贈与税がかかるのは基礎控除額の110万円を越えたケースに限ります。110万円を超える分については超えた金額分だけ贈与税が発生し、税率も金額によって変化します。

この暦年課税を利用して、毎年、きっちり110万円ずつの贈与を行っていると、「まとまった金額の贈与を企んでいる」と疑われる可能性もあります。そこで、オススメする方法が基礎控除を少し上回る生前贈与を行うことです。たとえば、111万円の生前贈与を行うと、基礎控除を越える1万円分に対して1,000円の贈与税が発生します。この贈与税を支払いさえすれば、生前贈与が行われている証明になり、贈与税対策だと疑われにくくなるわけです。

⑵相続時精算課税

原則として、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子どもか孫に対して財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。この方法では、受け取った金額が通算で2,500万円までなら贈与税はかかりません。相続時精算課税を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

相続時精算課税制度は、今後価値が上がる相続財産を対象に利用すると特に有効でしょう。相続財産としての評価額は、贈与時の評価額となるからです。そのため、贈与するタイミングが重要となりますね。反対に、建物など今後価値が減少したり値下がりが確実な財産に関しては、相続時精算課税制度の利用に適していません。

⑶暦年課税と相続時精算課税の使い分け

父親と母親、それぞれが所有している財産を受け取れる場合、その財産の種類や総額に合わせて贈与税を非課税とする方法を使い分けると節税につながります。たとえば、父親からの贈与は暦年課税を利用し、母親からの贈与は相続時精算課税を利用するなどです。

!注意点
一度相続時精算課税を選択すると、途中でその利用制度を変更することはできません。選択以後の年110万円の贈与税の基礎控除は利用出来なくなります。年間で110万円以内の贈与をしても、その都度20%の贈与税を支払い,相続時の清算額に贈与金額が加算されます。


★まとめ★

生前贈与を受ける人は、「暦年課税(通常の贈与税)」か「相続時精算課税」のどちらかの方法を選択する必要があります。いずれにも非課税になる範囲がありますから、うまく使い分けるとスムーズに節税することができます。


★用語解説

  • 生前贈与
    生きているうちに、財産を譲ることです。その目的は、相続財産つまり死後に渡される財産のいくらかをあらかじめ生前に渡しておくことで、相続財産を減らし、それによって相続税を減らすことにあります。ただこの場合、相続税は減りますが贈与税がかかります(民法第903条)。